帰ってきたみふ子の真夜中日記

ちんちんついてる爆乳抜き屋さん。全身課金500まん。一部R18

「規格外」を生きているということ

※トランス女性って要はオカマのことだろ?


この問題でわたしが改めて驚かされたことがあります。いちおう人権に関する話として語られるべきトピックであるにも関わらず、しかも多くの場合、話者がリベラルやフェミニストの看板を掲げているのにも関わらず、当事者にとってはまったくリアリティに欠けたトランス女性像が一人歩きしていることです。いわゆるTERFの皆様が語るトランス女性はあくまで「女装した男性」であり、男性としてのマジョリティ性をそのペニスゆえに備えており(この時点でわたしには「は?」なのですが)、したがってマジョリティならではの厚かましさで女性専用スペースに「トランス女性の権利!」と叫びながら乱入してくる、というものです。そしてこのトランス女性像と女装した性犯罪者の区別がつかないと……

当事者からすれば、控えめに言っても嗤うべき愚かしい無知と想像力の欠如の産物なのですが、この仮想トランス女性が存在不可能であることを——本当にうんざりすることですが——これから示してみましょう。

トランス女性とは男性の身体に生まれつきながら、社会的には女性として生きようとする人々の総称です——自認云々はこの際考えなくていいでしょう。内心のことなどはかりようがありませんから——一方この社会には男女の別がある。そしてトイレやお風呂には男女それぞれのスペースがある。

ところで、これも繰り返し述べていることですが、トランス女性は一般に日常生活では見ず知らずの他人に元の性別を知られたくないものです。なぜなら、この社会の成員全てがトランスに理解があるとは言えず、この社会のシステムのほぼ全てがトランス向けには作られていない。そして何よりトランス女性自身が「実は男」と言われることに怯えている。

元の性別がバレれば街で突然酔っ払いの集団に囲まれ嘲られる危険がある。トイレにも入れなくなる危険がある。ですから、ホルモン治療を受け、場合によっては整形までして、パス度を上げる努力をするのです。

多くのトランス女性がホルモン治療の開始期に男子トイレでトラブルに遭っています。移行期には自分がどちらに見えているか自分では確信が持てないので、とりあえずこれまで入っていた方に入ります。わたしの場合はこの時期は男性にも女性にも見える服装をしていました。

そうして用を足した後に手を洗っていると、後ろから男性が入ってくる。すると鏡に映ったこちらの顔と後ろ姿を見て驚愕の表情を浮かべ慌てて出て行き、数秒後にまた入ってきて、「ちょっとここ、男子トイレですよ」と言われるわけです。

これがやがて移行が進むと、日常的に女性装で生活するようになります。そうした生活の中で外出中にふと尿意なり便意なり催したとします。誰でもトイレがなかったら?……大丈夫、もうわたしはこれで生活しているのだから、と思いつつも、多少の後ろめたさとともにさっさと女子トイレで用を足すしかないでしょう。わたしは8年以上そのようにしていて、一度もトラブルを起こしたことがありません。逆に男子トイレに入っていたら数え切れないトラブルに遭遇していたことでしょう。そしてわたしはその度に「わたしは女装していて大きな乳房がありますが実はペニスが付いています」と特に必要のないはずの屈辱的なカミングアウトを見ず知らずの人に、そこにいるという事実をもってして、してしまうのです。

この問題に関連して、とあるリラックマアイコンの男性アカウントが、女性の姿をした人も男子トイレに受け入れるべきなどと宣っているのはまことに愚鈍の極みと言うほかありません。トランス女性のことを何もわかってない、分かろうとしないなら、黙っていてくれませんか?

そしてここまで言えば、お分かりかと思います。TERFの皆様が思い描いている仮想トランス女性像というのは虚像です。多くのトランス女性は日々「あれはトランス女性だ」「元男だ」「チンコついてるだろ」と指差されることに恐怖しながら暮らしているのです。その意味では変わりゆく身体を抱えて生きるトランス女性は紛れもなくマイノリティであり、マジョリティの厚かましさなど発揮できようはずもありません。


※「身体」にまつわるマイノリティを「直感」「不安」で語ることの愚


トランス女性は「身体」にまつわるマイノリティです。「身体」は常に、死ぬまで、24時間365日「わたし」につきまとうものです。したがってこれについて語るときは、当事者の身体性や個別の生活経験がまず丁寧に参照されるべきではないかと考えます。そうすれば、特に性器を他者に晒すことのないトイレの利用可否を一律「ペニスの有無」で決めることの理不尽さ、そしてトイレの話と公衆浴場の話をごちゃ混ぜにする議論の粗雑さがわかっていただけるはずです。

今回、トランス女性を擁護するフェミニズム研究者がTERFから集中砲火を受けています。このような攻撃を受けても反差別・反トランスフォビアの姿勢を頑として崩さない研究者の方にわたしは心から敬意を示すものですが、研究者の方がこのような姿勢を取れるのはおそらくは多数の生きたトランスジェンダーと——生身であれ、映像であれ、文献であれ——触れてきたからではないでしょうか。わたしにはその態度は、学者の傲慢という言葉からもっとも遠いもののように思われます。

一方、「身体」にまつわるマイノリティに対する扱いで一番誤りを生みがちなのは「直感」「不安」で考えることです。そこでは24時間じぶんのマイノリティ性と付き合って生きていかなければならない当事者のリアルはいっさい考慮されません。

「ペニス」「女装」「女子トイレ」「女風呂」「性犯罪」という言葉がタイムラインに踊り、「女性の不安」を煽ることでトランス女性を犯罪者扱いする呟きが溢れかえり、多数の当事者が傷付きました。今回の話題でトランス女性は散々ペニス呼ばわりされ、そして女扱いされたくば今すぐペニスを切れとまで言われた。けいたという糞が「ペニスが女子トイレに侵入してくる」という下品極まりない煽り方をしていた。あまりに屈辱的なことです。わたしはパンツを脱いで女子トイレに入るわけではありません。そして、日々この身体とこの性を生きるものとして、サバイバルしているだけなのです。わたしはトイレがセックスで分けられているかジェンダーで分けられているかという話にあまり興味が持てません。なぜなら、どのみちわたしはサバイバルのために女子トイレもしくは誰でもトイレを使わざるをえないからです。

そう、わたしたちはシスジェンダー中心の社会では「規格外」で、既存のシステムからはサポートされない存在なのです。であれば、たとえグレーなことであってもサバイバルをしなければならない。その「規格外」を生きる人間たちに今回リベラルやフェミニズムの一部から投げられた言葉はなんだったか。


もう、トイレやお風呂の話はウンザリです。

 



※トランス女性と性的被害


いま、ジェンダー関連の話題として、トランス女性の問題と並んでタイムラインを駆け巡っているのが女性の性被害についてのニュースです。どれもこれも目を覆いたくなるようなものばかりですが、トランス女性にとっても無縁のものではありません。

トランス女性が受ける性暴力には女性として受ける性暴力とトランス女性として受ける性暴力の二種類があります。わたしの受けたものでいうと、前者の例では満員電車の中での痴漢行為、後者はホステスをしていた時に受けた酒を飲ませた上でのレイプです。いずれも訴えることなどできません。わたしは性被害を訴えた女性の友人から警察でセカンドレイプまがいの質問をされた話を聞いています。もし、わたしが訴えたら……?

「あなたは男性でしょう。抵抗はできなかったのですか」「あなたはその時性的に興奮して勃起していたようですが、それでも合意はなかったのですか(そりゃしつこく触られたら女性ホルモンを打った身体でもわたしの場合は勃起くらいはしますよ。女性の陰部が濡れるようにね)」

訴えられるはずがないでしょう。泣き寝入りするしかないのです。たとえ、複数の人間から肛門にゴム無しで挿入され、射精され、血を流し、病気の感染のリスクを負ったとしても。「規格外」を生きているが故にサポートを受けられないというのはそういうことなのです。

ニューハーフ風俗の愛好者(つまりわたしのお客さん)の声として、こういうものがありました。

「ニューハーフは男の気持ちをわかってくれるから安らぐ」「ニューハーフは女性と違って感じてくれているのがわかるから嬉しい」

わたしは心の中で「違うんだよ、そう思ってくれるように接客してるんだし、そりゃプレイの中で触られたら硬くもなるよ」とつぶやくわけですが、ニコニコしながら「そぉですよね〜」と返すわけです。時々ゴムなしで挿入しようとしてくるお客をかわしながら。ちなみにニューハーフ風俗の利用者は大半が異性愛者です。奥さんや彼女がいる方も多いです。

ようするにトランス女性は男性から「ゆるい」「男性の性欲に寛容(なぜなら男同士だから)」と見られがちなのです。

トランス女性が性被害に遭いやすいのは、女性より男性に対する警戒心が薄いからだ、という""生得的女性""からの意見もありました。わたしに関していえば確かにそれは思い当たる節があります。わたしが性行為を強要された時はいずれも不注意にも男性と車に乗ってしまったからでした。でもだからと言って被害を軽視するのは違うでしょう。

わたしはトランス女性と女性の性被害を比べたいのではありません。体格差を考えれば、女性の方がはるかに抵抗が難しいということもできましょう。わたしは、トランス女性をあくまで男性と見なし性犯罪を起こす側として仮想する言説の流行は、性被害を受けたトランス女性の心を深く傷つける上に、トランス女性が性被害に遭うリスクをより高めるということを言っているのです。


※なぜそれを今言わなければならないのか


「""生得的女性""は再生産に関わる肉体として生まれ、それによって差別を受けてきたのでトランス女性とは区別されなければならない」という言説もまた耳にタコができるくらい……いや、目にタコができるくらい目にしてきました。わたしから言わせれば、「なぜそのことを今言わなければならない?」なんです。わたしはこの論争を通じて、再生産に関わるテーマで女性の身体を論じるのはトランス差別だなどといったことはありません。そんなことを言っているアカウントも見たことがありません。ただトランス女性の扱いに関して、お前は再生産に関わる肉体に産まれてないから女装した男に過ぎないんだよと述べることは明確に差別と言えるのではないでしょうか。

「規格外」の人生をサバイバルしているトランス女性の中には将来の見通しがつかず、刹那的な生を生きる人間もいるのです。このわたしのように。せめて、より周縁に追い込みをかけるような言説は控えていただけないでしょうか。

わたしは手術要件の撤廃には現時点では慎重な立場です。なぜなら、そのような改正がトランスフォビアに火をつけ、状況がより悪化することが目に見えているからです。わたしがあえてこのような立場を表明しなければならない状況を分かっていただけるでしょうか。










境界線上のアリア

※脱力を誘う結論


さて、長らく紛糾していたトランス女性の女性専用スペースの利用について、今回トランス女性側、アンチトランス側の間のあるやりとりが注目されました。

「女子トイレを使えるのはパスしているトランス女性のみ、それ以外のトランス女性は女装男性の侵入者として建造物侵入罪で犯罪扱いになるのはやむを得ない」という見解がエリン氏の執拗かつ陰湿な追及によって三橋順子氏から引き出されたのです。

このカッコの部分の「、」以降の後半部分は建造物侵入罪の適用条件面でかなり問題があることがすでに多くの方々によって指摘されています。一方で、前半については黒井を含む多くの当事者が暗黙の了解としてすでに引き受けていたはずのことでした。なぜなら、この暗黙のルールをやぶれば一番痛い目を見るのは自分だからです。この社会の成員すべてがトランスに理解を示しているとは到底言えませんから。つまり、この結論の前半部分は現状の追認に他なりません。なんとも脱力ではありませんか。


※おまえらが「パス度」って言うな


黒井はセックスワーカー……まあ、平たく言えばニューハーフ風俗嬢でありAVモデルであり、当然ながら、ルッキズムとは無縁ではいられません。顔立ちが美しい方が、スタイルが良い方が、乳房が大きい方が、得をする世界で生きています。

と、同時に黒井は自分の見た目によって大きく扱いが変わるマイノリティ、つまりトランス女性です。パスできなければ、どんなに便意に苛まれても、数少ない誰でもトイレが空くのを待たなければならない。

わたしは全身にレーザーを当てて永久脱毛をしました。顔面のヒゲ部分にレーザーをあてた時はあまりの痛さに泣きました。女性ホルモンの注射は毎月2回。これのおかげでトランス女性は女性的な肉付きを得ることになりますが、筋肉注射でなかなか痛い。そして副作用のリスクは当然あります。

顔の整形手術も2回しました。手術後は顔があざだらけでひどいものでした。豊胸手術……これはもう2度と受けたくない。手術直後はこの痛みが続くなら死んだ方がマシだと……。ヒアルロン酸やボトックスの注入。顔への注射はどれだけやっても慣れません。もう10回以上していますが。

でも、まだ横顔が気にくわないのです。ひたいの骨を削りたい。それに眉毛と瞳の間が狭いのも男性的なので、タレ目形成をしてより女性な目にしたい。鼻翼も切りたい。できれば肋骨も抜きたい。そうすれば、胸板も薄くなります……

……キリがありませんね。そう、キリがないのです。この沼にはまると。それでも、わたしは自分の身体で稼いだお金をそこにつぎ込み続けるでしょう。

ある人はこう言うでしょう。「その整形に使ったお金でSRSをすれば良かったのに」と。わたしは答えます。「パス度が低いままSRSをしても不幸なだけだ」と。

女子トイレは性器を露出するところではありません。ということは、性器の形は見えるところから推測される、ということになります。パスしている未オペのトランス女性と、パスできていないオペ済みのトランス女性、どちらが犯罪者扱いされるでしょうか?当然、後者です。というか前者は透明化されているので最初から問題にならないのです。

少し前にSRS後に元の性に戻りたくなったというMtFの話がありましたが、おそらくそれはそのMtFが女性になってはじめて女性差別の実態に気づいたといったようなものではなく、パス度不足による移行不適応のためではないかと個人的には推測しています。

いくらルッキズムと言われようとも、今この社会では事実としてトランスの生きやすさはパス度に大きく左右されることは間違いありません。もう一度確認ですが、この社会の成員すべてがトランスに理解を示しているわけではないのですから、身分証を提示しない場面ではトランスと気づかれないのが一番楽なのです。ですから、当事者自身が自らの意志において、自らの利益のためにパス度を高めようと努力することは——たとえ性産業に関わってでも——極めて正当なのです。

ですが、非当事者から「パス度を高くしなければ、お前らのことを女性とは扱わない」と言われるのは、「ちょっと待てやオイ」となるのです。おまえが言うな。


※「シス中心社会」の中で


性別移行中のトランスはいわば二つの性の境界線の上に立っています。そのトランスに性同一性障害の診断が下りていようがいなかろうが同じことです。女子トイレで隣り合う人に、会社の人事に、アパートの大家に診断書を見せたところで何の効果もないのです。むしろ『病気を盾にワガママを通そうとする面倒な奴』と見られるだけではないでしょうか。誰もがそれぞれの利害や不安や責任があるのです。

それにしても、トランス女性を目の敵にし、「TRAがオペ済みのGIDを迫害している」などという言い草は妄言もいいところです。今回TERFと呼ばれている人たちはオペ済み=「TRA」とは違うGIDの人たち、などという認識のようですが、単純に無知、あるいはあえて無知を決め込んでいます。トランス女性のあり方は極めて複雑かつ多様であって、わたしのような未オペのものも診断書を持っていますし、いまオペ済みとなっている人もかつてはホルモンを打ち始めたばかりのトランスジェンダーだったのです。そう、あれらのものはトランス女性の身体の歴史性を全く無視している。このような人たちが「自分はGIDの人のことを思いやっている」などと宣うのはハッキリ言って笑止なのです。「政治的に利用している」の間違いでしょう?

この社会はシスジェンダー用に作られ、また多くの人間はこのシスジェンダー用に作られた社会に適応しながら生きています。そして中でもトランスジェンダーの排除装置として働くのはトイレと公衆浴場です。最初からトランス女性のことを快く思っていなかったいわゆるツイフェミがトランスジェンダーにこれらの施設の利用の問題を突きつけてキャンペーンをはってきたのは必然でした。あなたがたも人権について真剣に考えているなら、——フェミニストとはそういう人たちだとわたしは思っていましたが——最初にやるべきは己の現状に応じて個々のやり方でサバイブしているトランス女性を責め立てることではなく、このシスによるシスのための社会設計に対して物を申すべきではないでしょうか?もし、あなたがトランスという存在そのものを認めてないわけではないとしたら。まして、トランスにプレッシャーを24時間与え続けているシス側の人間が、「パスしたら認めてやる」だなんて。


※存在の耐えられない雑さ


わたしは女性の性犯罪を恐れる気持ちを一貫して批判していません。それをトランス女性の排除につなげるまでの手続きの""雑さ""を批判し続けています。そしてその雑さを支えているのがトランスの存在自体への嫌悪、トランスヘイトなのです。

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うなぴさんのこちらのツイートも例によって多数のTERFに叩かれましたが、これは、たかだか自分の身体を清めるだけのために、わざわざ全裸体を晒さなければならない、まさにシス専用施設であるところの公衆浴場のシステムを批判したツイートと言えるでしょう。現行の公衆浴場というシステムそのものが、トランスを排除しているわけで、自分の住まいにお風呂があるトランスはこんなところにわざわざ入ろうとはしません。わたしはこのうなぴさんのツイートに共感するものですが、TERFの皆さんはこのように解釈するようです。

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こちらのSophiaさん、ことあるごとに「自分が理系である」ことを強調されていますが、おやめになった方が賢明かと思います。なぜなら、「理系は数式や化学式ばかり相手にしているので、文学作品など読んだこともなく、文章を読み書きする能力がなく、レトリックのひとつも理解できない」という悪しき偏見を強化するツイートばかりしているからです。うなぴさんのツイートは性的なツイートではなく、人間の身体を脱性化している言葉だからです。女性の身体もトランス女性の身体も、単なる身体なのです。そこに意味づけを行うのは、抑圧する主体としての社会なのです。








また書くよ!

※なんかやたらスターが付いたと思ったら


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バズっていた。

せっかくだからまた更新しましょうか。


なに?相変わらずツイッターがひどいって?


うん、それはチラチラ見てたけどね。

男のチンコしばく(仕事です)のに忙しかったもので……


引き続きわたしはわたしのリアルを語るだけです。

記事をRTしてくれた皆様に感謝します。

まだまだシェアしてくれていいんだよっ!


おう、わちはとりまお礼の写メ日記書かなきゃいけないので失礼。


【R18】SURVIVE,T-woman!

※露わになるとき


ノックする。ドアが開く。扉の向こう側にいたのは、ピンクのワンピース姿の巨体の女性……いや女装した男性だった。わたしはやや面食らう。前回会った時の様子とは違っていたから。

「お久しぶり。どうしたの今日は?かわいいかっこしちゃっ……」

と、言い終わる前に""彼女""はわたしの身体にしがみつき、口づけをしてくる。全身の力を抜きキスに応じる。くちびるが離れるのを待って、はいはい、落ち着いて、と昂ぶる""彼女""を宥めてコートを脱ぐ。

「ほら、こないだ言ったじゃなぁい?」と、いわゆるオネエ口調で""彼女""は言う。次は女の子の姿で犯して欲しいって……。

「ああ、そうだったね!」

……迂闊だった。

わたしとしたことが、前回接客した時に会話した内容をまるっと忘れていたのだった。そうそう、前回は夜の時間帯にスーツ姿だった""彼女""は、わたしに罵倒されながら肛門を犯され射精した後に、実は女装の趣味もあって……と言ってきたのだった。何しろ3ヶ月前のことだし、その間に数えきれない人数を接客している。そして、""彼女""のようなタイプのお客さんは実はさほど珍しくはない。

この仕事をはじめて最初のうちは少し抵抗も感じたし、元々サディズムには程遠い身としては求められる役割に戸惑うばかりだったが、今ではこのタイプはわたしのお得意様である。何よりプレイのイニシアチブを取れるのが良い。こちらがM役の場合は向こうが何をしてくるのかわからないから。

「あ、そうそう、忘れてたワァ」と""彼女""は一万円札を3枚、わたしに渡す。わたしは満面の笑みで受け取る。

「ありがとう。今日も一緒に楽しもうね!」

それからわたしは""彼女""に口づけをする。その長いキスの間に自らのワンピースの肩紐と前紐を解く。すると、するすると身体の上を布が滑り落ちる。このお仕事に最適な、二秒で脱げる衣装というわけだ。

「素敵な身体……アタシもこうなりたかった……」と""彼女""はいう。

両手では収まらない胸と、長年のホルモン投与で様変わりした肉付き、そして、パンツから少しはみ出たペニス。あらかじめ勃起薬を飲んでいた。わたしは問いかける。

「ねえ、あなたの名前を教えて?」

「みちこ」

ふた回り以上も年齢が上と思われる女装さんの命名のセンスに思わずわたしは吹き出しそうになってしまう。


※鏡の国のMtF


「これで、また明日から仕事が頑張れるよ」

中年男性の姿に戻った""みちこ""さんから送り出され、店に連絡し、わたしは街に出る。次の予約まで時間があるので、デパートに行くことにした。ファンデーションがもうすぐで切れそうだ。買い足さなくては。

コスメカウンターの前に立つと、BAさんが甲高い声で「どうぞ〜」と声をかけてくれる。真正面の鏡に自分の顔が映る。より女らしくなるために、何度かメスを入れ、糸で縫い、注射針を刺した顔だ。その甲斐もあり、まあまあそこそこイケているのではないか、と思う。しかし斜め横にある鏡を横目で見ると、軽い吐き気のようなものを感じる。

人の顔を見慣れているBAさんにはわたしの元の性別などバレバレかもしれない、という考えがよぎる。あの、ファンデーション……。

「こちらですねー。いまお時間あります?よろしかったら新商品お試しに……」

「ごめんなさい、急いでいて……」

商品の入った袋を受け取り、鏡だらけのフロアーを歩き出す。次はどこを整形するとよいのだろうか?いくらかかるのだろうか?もうすでに性別適合手術を2回半受けられる金額を美容医療につぎ込んだ。完全に、疑いのない姿になるには。そしてそのためには、何年、今の仕事を続けなくてはならないのだろうか?


※見えない存在


デパートの女子トイレで用を足しながら、ツイッターのことを思い出す。

トランスジェンダートランスジェンダーを装う性犯罪者は見分けがつかない』

『女子トイレや女湯はペニスを切り落としてから』

『トランス女性は男性用に。男性がトランス女性を差別している』

わたし、ただオシッコしてるだけなのになあ、と思う。

何年目だろう。もうずっとこちらを使っていて、トラブルは一度として起きていない。むしろ、トラブルは男子トイレでよく起こっていた。本格的にトランスをする前、ただ女性ホルモンの錠剤を飲みつつ、髪を伸ばして中性的なファッションをしていたわたしは、男子トイレでしばしば他の利用者を驚かせていた。手を洗っていると、入ってきた男性が慌てて出て行くのが鏡ごしに見えた。しばらくしてぶ然とした表情でその男性は入り直してきた。このオカマ野郎がとでも思っていたのだろうか。

そういえば、かつて昼間のバイトをしていた時に、いつもフロアの違う誰でもトイレを使っていたわたしを見兼ねた女性の室長が、「君、女子トイレ使っていいから」って言ってきたのがはじまりだっただろうか。世の中にはああいう心の広い女性ばかりではないということか、それともわたしたちは何か違うものと勘違いされているのか……。

世の中にはいろんなトランス女性がいる。いろんなのがいるから、そりゃレズビアンにペニスを受け入れないのは差別だというトランス女性もわたしの知らないどこかにいるのかもしれない。風俗嬢のわたしからすれば気が狂った野郎としか思えないが。

世の中にはいろんなトランス女性がいるから、十分に女性として埋没できていないのに性別適合手術をしてしまったトランス女性もいるだろう。あわれだ。彼女は勝手に存在しないペニスをでっち上げられることを恐れて女子トイレに入れなくなるだろう。かといって男子トイレにも入れない。

トランス女性は差別されている。誰に?社会に。トイレも公衆風呂もトランス女性のことを想定しているとは言いがたい。部屋を借りるのにも、就労をするのにも、苦労する。

だから、うまくやらなくてはいけない。いろんな手を使って。サバイブしなければならない。ヘマをしてはならない。注意深くしていなければならない。

サバイブしなければならない。性産業の扉をノックしてでも、顔や身体を切り刻んででも。

手を洗って、わたしは鏡を見る。あぶらとり紙で皮脂のテカリを取り、パウダーをはたく。うん、大丈夫。誰もわたしの本当なんて、見えていない。周りの誰にも。

見えていないはずだ。


ネットの掲示板には同業者が自殺したという真偽不明の情報が流れていた。








やりたくもない話を延々とさせられている

※女性専用スペース論争を引き起こしたのはどちら?答えは明確です。


上記の件ですが。

さて、今日も""そびえ立つクソ""ことけいた氏にご登壇願いましょう。

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""そびえ立つクソ""ことけいた氏はこのようなことを言っているのですが、当然あやまりです。いや、誤りですらない。自分たちの正当性を補強しつつ、トランス側に悪印象を与えたいがために意図的に行った「歴史修正」です。クイックカウントさんが反論している通り、尾崎さんのツイートは2012年の、まったく別の文脈で行われたものですでに釈明済み。ブレンダさんのツイートは論争がすでにヒートアップした後でヤケクソ気味に放たれたツイートでこれもやはり釈明済みです。

いや、やはりクソから生まれた""そびえ立つクソ""はやることが違うな〜!!自分のクソのすさまじい臭いに窒息しないのでしょうか。わたしならコンマ2秒で昇天だわ。きったねえな。エンガチョ。

さて答えはこうです。トランス女性の御茶ノ水女子大入学のニュースに反発したTERFアカウントが「女性専用スペースはどうなるのだ」とトランス側に突きつけたところからです。だいたい御茶ノ水女子大にも男性はいるのですし、そのトランス女性のトランジションの進行度もわからないのですから土台これは言いがかりにすぎないのですが。

そもそも、トイレや共同風呂の話題は、トランス側、とくにトランス女性側からすれば「痛みどころ」に当たるわけで、中でも様々な制約の下で女性として社会生活を続けている未オペのトランス女性からすれば「できれば触れたくない話題」なんですよ。少なくとも自分からはじめたい話題ではない。そこをTERF勢、つまりアンチトランスフェミニストが執拗に突っつき続けている、しかも半年以上にわたって!!!

これが「女性専用スペース論争」の正体です。


※仕方ないから答えてやるよ。1000000回目だがな。


1000000回目は言い過ぎました。わたしの個人的見解を述べましょう。

https://kuroimtf.hatenablog.jp/entry/2019/01/21/152553

お風呂についてはこちら。

女子トイレについては、未オペで女性として社会生活を送っていて、女子トイレで他の利用者に迷惑をかけないようなパス度であれば使うべきだし、そのようなMtFに男子トイレの使用を強要することはトラブルの発生、そして「アウティング強制」という重大な人権侵害にあたる可能性があると指摘したはずです。

このスタンスはトランス女性が「もっともトラブルにあわない」ような、言ってみれば一番無難な方針なのですが、トランス女性が「もっともトラブルにあわない」ということは、トランス女性が原因のトラブルが発生しないということでこれは誰にとっても悪い話ではないはずです。トランス女性のことを『性自認は女だと言い張る時に加害的で無神経なカツラをかぶったトラブルメーカーの男』とイメージしていない限りは。

ペニスがある人間が女子トイレにいるのがイヤ?いや、だからあなたはその時気付いてないし、これまでもそういうことがあったかもしれないけど、気づかなかっただけなんだって。何も変わらない。何も。それ以上さらに言い募るなら、わたしは説得することを諦めます。そして被差別者が口煩い差別者に対してしばしば投げがちな、石のように硬く冷たい視線をあなたに向けることになるでしょう。


※もう7年ほど女子トイレを使っている

たかだかトイレに入るごときのことで、毎回トラブルにあっていたらかなわないので、はっきり言いますけどわたしはずっと女子トイレを使っています。わたしの女友達も、さらには普段から変更前の男の名前でわたしのことを呼びがちな(頼むから他人が聞いている場所ではやめてほしい)うちの母親までそれを当然のことと捉えています。今では、ですけど。

それはそうすることが誰にとっても自然で、すんなりトラブルなくいくことだと友達も母親も思っているからです。わたしが入ったから、MtFを偽る男性の痴漢が侵入しやすくなる?バカな。関係ないやん。みんなそう言うはずです。


※ウィメンズマーチにTERF参戦?面白いじゃん


何やら一部でTERFの皆様がトランス女性の排除をかかげてウィメンズマーチに参加するという真偽不明の噂が流れているのですがそれは本当でしょうか。ぜひやったらいいと思います。ところでその主張は己の顔を晒してできる主張でしょうか。テレビやネットに出て己の職場や所属にそういう主張をしていたことがわれても大丈夫な主張でしょうか。そして、トランス女性本人を目の前にしていえる主張でしょうか。わたしもぜひ""そびえ立つクソ""がどのようなツラを下げてあのような汚らしい投稿をしているのか見てみたいものです。あなたたちが姿を晒すならわたしは喜んで晒しますよ。わたしは何も怖くない。


※いい加減起きてくださいね!

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さて、ここでもうひとかたご登壇願いましょう。""夢見るポンコツ""眠気子さんです。この眠気子さんは驚くべきことにどうやらあまりにも眠たすぎて夢の中でツイートをしているようです。なぜなら現代日本において女子トイレは股の間の性器を他人に露出する場所ではないからです。それとも眠気子さんの夢の中では女子トイレの個室の仕切り板は透明なのでしょうか?

そして仮にそのMtFのパス度があなたの注意を特に引かないほど高いのならば、そのMtFは""存在しない""し、ペニスも""ない""わけです。あなたの中の現実では。そしてそれはMtFが必死にこの世に溶け込もうとした結果なのです。その溶け込んだMtFは匿名のネットコミュニティにおいては顕在化するわけですが、そこを突いてきたのがTERFでした。

このようなトランス女性排除の動きが世界的に起きています。TERFを扇動しているアカウントのほとんどが海外の記事を引っ張ってきています。不安定な足場で生きるトランスの足下がいまさらに脅かされています。

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誰でもトイレを増やす、男子トイレの個室化はまだトランジションが進んでないMtFQOLを上げることにもつながるわけですから是非お願いしたいところですが、誰でもトイレが増えるまでトランス女性はずっと便意や尿意を抑えていなければいけないのでしょうか。男子トイレでトラブルを起こし続ければならないのでしょうか。議会の予算がおり建設が進むまでトランス女性は堪えているのでしょうか。やはり""夢見るポンコツ""眠気子さんには現実が見えていないようです。

そして、「嫌な言い方をするだろうけど」以下の文章ですが、これは明らかにマッチポンプです。なぜなら、トランス女性がやりたくもない女子トイレの話や女湯の話をしなければならないように追い込んだのは、アンチトランスだからです。喧嘩を売っておいて激しく抵抗されたら、「ほら、あいつらはやはり危険な集団なんだ」などと吹聴するのは、まあマイノリティ迫害の常套手段とはいえ、あまりに汚すぎやしませんか?





 












眠気子、風呂とトイレを一緒にするな

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※どうしてもトランス女性の生活を邪魔したい!!!


女子トイレでは別に裸体晒しませんからね?

なぜ風呂とトイレを混同するのですか?

トイレと風呂を一緒くたにする議論そのものが粗雑でありトランス女性の実情を踏まえてないことは百万回このブログで言ってきました。

こういうアカウントばかりなんですよ。この界隈。

眠たいんなら黙って寝てろやカス



「入ろうとしている」ではなくて「すでにいる」

※あえて本音を言うなら

「追い出せるもんなら追い出してみろよバーカ✌︎('ω')✌︎」ってところなんですよね。

女子トイレの話です。女風呂じゃないよ。だから、いかにアンチトランスの方が「ペニス付きは女性専用スペースに入るな」と血走った目で叫ぼうがわたし自身は口笛なんですよ。わたしは「すでにそこにいる」のだから。

女性ホルモンをもう何年も打っています。豊胸手術も整形手術もしています。女性として24時間過ごしています。女子トイレを使えないと困るんです。だから入ってるんですよ。わたしが男子トイレを使えばその場が混乱に陥るだろうことはすでに話しました。つい先日地獄の業火に灼かれてこんがり丸焼けになったしいたけ氏のいうように、そのような混乱を乗り越えてトランス女性を多様な男性として受け入れるべきという話は論外です。あのような暴論にいちいち反論するのもバカバカしいのですが、しいたけ丸焼け記念に書いておきます。あばよしいたけ、永遠に戻ってくんな。

なぜならそれは女性として埋没しているトランス女性に、社会の不特定多数を相手にしてカミングアウトをすることを強いるからです。

仮にわたしが男子トイレに「いえ、わたしはペニスを持っているからこちらを使うんです」と大声で叫びながら入ったとします。その場にはトランス女性に対して性暴力を働こうとする人間、あるいは自らの信念やなんらかの信仰からトランス女性の存在を許さないという人間もいるかもしれない。毎回トイレに入るたびにそんな危険に晒されるんですよ、それが人権侵害でなくてなんなんですかね。ちなみに都心部にお住いの方ならお分かりでしょうが、誰でもトイレはたびたび長い時間待たされます。うんこ漏らします。いや、わからないかもしれないですね。誰でもトイレにしか入れなかった時期を過ごしたことのない人には。


※本日のお笑いアンチトランス劇場

マズローの三角形を出して、トランス女性が女子トイレに入ろうとするのは「所属欲求」であり、じぶんがトランス女性を排除するのは「安全欲求」なので、後者がより尊重されるべきという論を最初に見たときは正直なにを言ってるのか本気でわかりませんでした。どうやら、件の人たちの脳内ではわたしが女子トイレに入って「よしっ、俺は女子トイレに入ったから女子として認定されたっ!」とガッツポーズをとっているようなんです。本気で理解できないことなんですが。

違いますよ。あなたたちと同じように便意を感じて女子トイレに入り、便意を我慢しながら個室が空くのを待ち、個室でマヌケ面でクソをひねり、手を洗ってかわかして、鏡の前であぶらとり紙で顔のテカリを取り、パウダーファンデーションをはたいて、リップを塗り直して澄ました顔で出て行くのです。あなたがたと同じようにね。

ったく、馬鹿馬鹿しい。


※女性専用スペースからの未オペMtF排除論は事実上の「MtFカミングアウト強制」であり、「全トランス女性の社会からの排除」である。



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ここで""そびえ立つクソ""ことけいた氏にご登壇願いましょう。この騒動の発端を「女湯発言」だという、明らかな捏造を行った、アンチトランスの皆様から大人気の""そびえ立つクソ""ことけいた氏ですが、カミングアウトやアウティングについて根本的な誤りを犯しているので指摘しておきます。

いや、この""そびえ立つクソ""ことけいた氏の過去のやり口と考えあわせて、あえて誤ったふりをしてトランスへの偏見を戦略的に扇動しているのはほぼ間違いないと思われるのです。あえて誤っているのなら、ご期待に添いましょうか。

オペ済みの埋没トランス女性が「カミングアウトすると女でいられない」と言ったのはまさにトランス女性が現在直面している困難を表しています。じぶんが元男だと職場でカミングアウトすることはまさしくその日から""ふつうの女性""と見られなくなることであって、その職場にはもしかしたらこの""そびえ立つクソ""ことけいた氏のようなトランス女性に悪意を向ける人物がいるかもしれないのです。それくらいカミングアウトというのは困難な行為です。

ところで、職場とインターネット空間というのはまったく性質の異なる場所です。インターネット空間では本名や職場、自分の顔などを晒さずに自分の想いを綴ることができます。ですからそこで、まだ自分の身体は男性だがそのことに違和感を持つ未治療トランスと、すでに女性の身体に性転換をして、カミングアウトしないまま女性として生きているオペ済みトランス女性がコミュニケーションをとったりできるわけです。そしてそういう場があることは明らかに実社会で適応に苦心している当事者にとって救いでした。

""そびえ立つクソ""ことけいた氏は、職場や実社会におけるカミングアウトとインターネット空間における属性開示を意図的に混同することにより、当事者の苦しみを矮小化するばかりではなく、マイノリティのコミュニケーションのプラットホームであるインターネットコミュニティに対して重大かつ致命的な攻撃を仕掛けているのでした。だから言ってやるよ、お前はクソだ。クソは肥溜めに帰りな。臭えから。

さて、翻って実社会です。移行中、移行後の多くのトランス女性の願いは、自分の厳密な身体的性や染色体性が日常生活の中で暴かれないことであり、仮に(医療の場などで)止むを得ず開示することがあったとしても、それで偏見の目で見られないことです。わたしはかつて発熱の症状で医師にかかったときに具体的な検査をしていないのにもかかわらず盛んにHIVの可能性を指摘され激しく落ち込んだことがあります。(もっともそこにはセックスワーカー差別も多分にあるでしょうが)

未オペのトランス女性の女性専用スペースからの排除論には、なぜか未オペのトランス女性が未オペとわかるという前提があるのですが、(そして女風呂と女子トイレの話を一緒くたにするという、当事者にとってはきわめて粗雑に見える論法はこの前提があるからでしょう)いったい誰がわたしのパンツの中を見るのでしょうか?ということには誰も答えてくれません。それとも女子トイレの入り口で、染色体検査を行うのですか?

それともMtFにカミングアウトを強制させるのですか?そうなればすべての人間は自分の染色体のバッジを首からぶら下げるということになりそうです。

仮にすべてのトランス女性にカミングアウトを強制させたとしましょう。そうなれば、未オペトランス女性のRLE、未オペながら女性として社会生活をするということが困難になり、ひいては性転換後の生活も著しく厳しいものになるでしょう。そしてトランス女性の女性専用スペースからの排除論を訴えている人々が社会生活を女性として生きているトランス女性の実態に明るいとはどう考えても思えないのです。

会社と交渉して女性として出社しているが、会社の上層部以外には自らの戸籍性を明かしていないトランス女性。セックスワーカーとして仕事ではペニスと豊胸乳房を晒しながら普段は女性として生きている整形依存のトランス女性。実社会との適応に苦しみながらネットで切実な想いをつづるトランス女性。嘘は嫌いなのでといって自分の性を職場ではオープンにしつつ、持ち前の明るさと仕事の能力で自分の居場所を確保しているトランス女性。

彼女らはいつかペニスを切るかもしれませんし、もしかしたら「いつか」と思いながら志半ばで世を去ることになるかもしれません。諦める人もいるかもしれない。

しかしひとつ言えるのはトランス女性はすでにそこにいるということなのです。新たにずかずかと入ってくるのではありません。あなたの隣にいるのかもしれないのです。

性犯罪の防止についてはそれと別に論じればいいでしょう。オールジェンダートイレの増設はホルモン治療や適応が進んでないトランスジェンダーにとってもプラスと思われます。



なお、本項で取り上げたカミングアウトの問題はFtMにも共通しているということも付け加えておきます。