帰ってきたみふ子の真夜中日記

ちんちんついてる爆乳抜き屋さん。全身課金500まん。一部R18

境界線上のアリア

※脱力を誘う結論


さて、長らく紛糾していたトランス女性の女性専用スペースの利用について、今回トランス女性側、アンチトランス側の間のあるやりとりが注目されました。

「女子トイレを使えるのはパスしているトランス女性のみ、それ以外のトランス女性は女装男性の侵入者として建造物侵入罪で犯罪扱いになるのはやむを得ない」という見解がエリン氏の執拗かつ陰湿な追及によって三橋順子氏から引き出されたのです。

このカッコの部分の「、」以降の後半部分は建造物侵入罪の適用条件面でかなり問題があることがすでに多くの方々によって指摘されています。一方で、前半については黒井を含む多くの当事者が暗黙の了解としてすでに引き受けていたはずのことでした。なぜなら、この暗黙のルールをやぶれば一番痛い目を見るのは自分だからです。この社会の成員すべてがトランスに理解を示しているとは到底言えませんから。つまり、この結論の前半部分は現状の追認に他なりません。なんとも脱力ではありませんか。


※おまえらが「パス度」って言うな


黒井はセックスワーカー……まあ、平たく言えばニューハーフ風俗嬢でありAVモデルであり、当然ながら、ルッキズムとは無縁ではいられません。顔立ちが美しい方が、スタイルが良い方が、乳房が大きい方が、得をする世界で生きています。

と、同時に黒井は自分の見た目によって大きく扱いが変わるマイノリティ、つまりトランス女性です。パスできなければ、どんなに便意に苛まれても、数少ない誰でもトイレが空くのを待たなければならない。

わたしは全身にレーザーを当てて永久脱毛をしました。顔面のヒゲ部分にレーザーをあてた時はあまりの痛さに泣きました。女性ホルモンの注射は毎月2回。これのおかげでトランス女性は女性的な肉付きを得ることになりますが、筋肉注射でなかなか痛い。そして副作用のリスクは当然あります。

顔の整形手術も2回しました。手術後は顔があざだらけでひどいものでした。豊胸手術……これはもう2度と受けたくない。手術直後はこの痛みが続くなら死んだ方がマシだと……。ヒアルロン酸やボトックスの注入。顔への注射はどれだけやっても慣れません。もう10回以上していますが。

でも、まだ横顔が気にくわないのです。ひたいの骨を削りたい。それに眉毛と瞳の間が狭いのも男性的なので、タレ目形成をしてより女性な目にしたい。鼻翼も切りたい。できれば肋骨も抜きたい。そうすれば、胸板も薄くなります……

……キリがありませんね。そう、キリがないのです。この沼にはまると。それでも、わたしは自分の身体で稼いだお金をそこにつぎ込み続けるでしょう。

ある人はこう言うでしょう。「その整形に使ったお金でSRSをすれば良かったのに」と。わたしは答えます。「パス度が低いままSRSをしても不幸なだけだ」と。

女子トイレは性器を露出するところではありません。ということは、性器の形は見えるところから推測される、ということになります。パスしている未オペのトランス女性と、パスできていないオペ済みのトランス女性、どちらが犯罪者扱いされるでしょうか?当然、後者です。というか前者は透明化されているので最初から問題にならないのです。

少し前にSRS後に元の性に戻りたくなったというMtFの話がありましたが、おそらくそれはそのMtFが女性になってはじめて女性差別の実態に気づいたといったようなものではなく、パス度不足による移行不適応のためではないかと個人的には推測しています。

いくらルッキズムと言われようとも、今この社会では事実としてトランスの生きやすさはパス度に大きく左右されることは間違いありません。もう一度確認ですが、この社会の成員すべてがトランスに理解を示しているわけではないのですから、身分証を提示しない場面ではトランスと気づかれないのが一番楽なのです。ですから、当事者自身が自らの意志において、自らの利益のためにパス度を高めようと努力することは——たとえ性産業に関わってでも——極めて正当なのです。

ですが、非当事者から「パス度を高くしなければ、お前らのことを女性とは扱わない」と言われるのは、「ちょっと待てやオイ」となるのです。おまえが言うな。


※「シス中心社会」の中で


性別移行中のトランスはいわば二つの性の境界線の上に立っています。そのトランスに性同一性障害の診断が下りていようがいなかろうが同じことです。女子トイレで隣り合う人に、会社の人事に、アパートの大家に診断書を見せたところで何の効果もないのです。むしろ『病気を盾にワガママを通そうとする面倒な奴』と見られるだけではないでしょうか。誰もがそれぞれの利害や不安や責任があるのです。

それにしても、トランス女性を目の敵にし、「TRAがオペ済みのGIDを迫害している」などという言い草は妄言もいいところです。今回TERFと呼ばれている人たちはオペ済み=「TRA」とは違うGIDの人たち、などという認識のようですが、単純に無知、あるいはあえて無知を決め込んでいます。トランス女性のあり方は極めて複雑かつ多様であって、わたしのような未オペのものも診断書を持っていますし、いまオペ済みとなっている人もかつてはホルモンを打ち始めたばかりのトランスジェンダーだったのです。そう、あれらのものはトランス女性の身体の歴史性を全く無視している。このような人たちが「自分はGIDの人のことを思いやっている」などと宣うのはハッキリ言って笑止なのです。「政治的に利用している」の間違いでしょう?

この社会はシスジェンダー用に作られ、また多くの人間はこのシスジェンダー用に作られた社会に適応しながら生きています。そして中でもトランスジェンダーの排除装置として働くのはトイレと公衆浴場です。最初からトランス女性のことを快く思っていなかったいわゆるツイフェミがトランスジェンダーにこれらの施設の利用の問題を突きつけてキャンペーンをはってきたのは必然でした。あなたがたも人権について真剣に考えているなら、——フェミニストとはそういう人たちだとわたしは思っていましたが——最初にやるべきは己の現状に応じて個々のやり方でサバイブしているトランス女性を責め立てることではなく、このシスによるシスのための社会設計に対して物を申すべきではないでしょうか?もし、あなたがトランスという存在そのものを認めてないわけではないとしたら。まして、トランスにプレッシャーを24時間与え続けているシス側の人間が、「パスしたら認めてやる」だなんて。


※存在の耐えられない雑さ


わたしは女性の性犯罪を恐れる気持ちを一貫して批判していません。それをトランス女性の排除につなげるまでの手続きの""雑さ""を批判し続けています。そしてその雑さを支えているのがトランスの存在自体への嫌悪、トランスヘイトなのです。

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うなぴさんのこちらのツイートも例によって多数のTERFに叩かれましたが、これは、たかだか自分の身体を清めるだけのために、わざわざ全裸体を晒さなければならない、まさにシス専用施設であるところの公衆浴場のシステムを批判したツイートと言えるでしょう。現行の公衆浴場というシステムそのものが、トランスを排除しているわけで、自分の住まいにお風呂があるトランスはこんなところにわざわざ入ろうとはしません。わたしはこのうなぴさんのツイートに共感するものですが、TERFの皆さんはこのように解釈するようです。

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こちらのSophiaさん、ことあるごとに「自分が理系である」ことを強調されていますが、おやめになった方が賢明かと思います。なぜなら、「理系は数式や化学式ばかり相手にしているので、文学作品など読んだこともなく、文章を読み書きする能力がなく、レトリックのひとつも理解できない」という悪しき偏見を強化するツイートばかりしているからです。うなぴさんのツイートは性的なツイートではなく、人間の身体を脱性化している言葉だからです。女性の身体もトランス女性の身体も、単なる身体なのです。そこに意味づけを行うのは、抑圧する主体としての社会なのです。