帰ってきたみふ子の真夜中日記

ちんちんついてる爆乳抜き屋さん。全身課金500まん。一部R18

トランス女性はもしかしたらあなたの隣にもいる

性自認に客観的な根拠などはない。しかし…… 


最近、ツイッター""否認派""の意見を目にするのが精神的にしんどくなってきました。性自認などまやかしだ、そんなものは幻想にしか過ぎない、と繰り返し言われると、確かにそのような気がしてくるのです。たとえそれが物心ついた頃からずっと抱えていた想いであっても。

わたしはたとえば性自認によって脳にあらかじめ差があるとかそういった""器質説""をあまり信用していません。器質的な要因はせいぜい一要素でしかないと思っています。性同一性障害の根拠はいずれ生理学的に解明されるであろう、と息巻いている当事者をかつて見かけたことがありますが、わたしは自分のトランスに至るまでの揺らぎに満ちた複雑な過程を、器質ですべて説明できるとはどうしても考えられないのです。

だから、性自認などまやかしだ、嘘だ、幻想だ、と言われると、確かにそうかもしれないなあと思ってしまう。そうね、確かにあなたの言う通りだし、そもそも一部の""否認派""が言うように、男から女にトランスするという行為そのものが加害なのかもしれない。わたしはあなたに何もしていないのだけれども。

加害性のある体に生まれたくなかったという願いを、専ら加害される体に生まれたくなかったという願いを持つ人間に聞かせて同意させるのはとてもグロテスク、ということになるのかもしれない。

しかし……

しかし、この身体はどうなるのですか。現実に、いま、ここに、存在するわたしという魂を容れたこの身体は。その時々、一瞬一瞬の強い願いによって変わってきた、ひとつの歴史を持ったこの身体は。

わたしは、わたしたちは存在しているのです。それを殺す権利など誰にもない。いや、なんなら殺すなら殺してみよ。わたしの顔を、わたしの肉体を直視しながら、わたしの胸にナイフを突き立ててみよ。こいつは存在自体が加害だという理由で。



お風呂の話はいい加減にしてくれ 

わたしは、当事者を含めた多数の方がまだ「女湯問題」にかかわっているのを見て、本当に失望をしています。女湯問題については、わたしはすでに【「トランス女性」はやめられない】の記事で書き尽くしたので、もはや新たに何もいうことはありません。未読の方はすみませんかぜひご一読ください。

「女湯問題」はもはや"'否認派""がトランス女性が加害的、または加害を導く存在であることを女性全体に喧伝するためのツールとなっています。実際にはわたしを含む多くの未オペのトランス女性が女風呂を利用する気のないことを表明していたとしてもです。したがって、当事者側が未だにこの話に乗せられてしまうことは、""否認派""を利することになります。大多数の未オペ当事者は女風呂をむしろ避けています、の一言で切って捨てればよい。

本当にうんざりしますが、わたしの現状認識と意見をもう一度言います。

「未オペMtFがどちらの湯に入るかの判断は入浴施設側に委ねられている。しかし現状としては入浴施設は性器の形状により判断しているし、当事者のわたしもそれに異存はない。しかし将来的には当事者も入浴が楽しめるようなデザインの公共入浴施設が誕生することを望む」

ですから、ジェンダーの撹乱とか言って女湯問題を自分の論のネタにする当事者や活動家の方も、どうかお願いですから、「そこにペニスがあると想定してない場で剥き身のペニスがあった場合に、女性が受ける恐怖」に最初思いやってあげてから論でも思考実験でも展開してください。お願いします。

わたしだってお仕事で毎日他人のペニスを見ていますが、夜道(というか、つまり「そこにペニスがあると想定していない場」)でいきなりペニスを出されたらビビりますし、その次の何かしらの加害的な行動を恐れて逃げ出しますよ。ペニス、つまりあのある程度のサイズを備えた外性器は「絶対他者」って感じがするもんね。愛かお金か、何かしらの「和解条件」がないと受け入れられないよ。本当は。

わたしは時々お酒の勢いで受け入れちゃうけど。



声なき声を聴け~トランス女性の部屋探し


もうお風呂の話はやめにしましょう。金輪際話したくないですね。

わたしは自分のマンションのユニットバスをより快適なものにするためにバスロマンを買ってきます。そして、温泉旅館を利用するときは、個室貸切風呂に入ります。料金上乗せしてね。ですから話すことはもう何もないんですよ。


それよりわたしは今のマンションを借りるまでの話をこれからしましょう。

その時わたしは一刻も早く部屋を借りる必要がありました。大変恥ずかしい話ですが、当時、一緒に住んでいた男性との関係が破綻状態にあったからです。大きな荷物を抱えながら、あちこちの知り合いの部屋を転々としては風俗店に出勤するという劣悪をきわめた状況でした。

しかしなかなか契約を決めることができません。当たり前です。書面上、つまり戸籍の性別が見た目と一致していない、夜のお仕事、保証人がいない、という三重苦です。最後の一つは保証会社にお金を積むことで解決をしたとしても、最初の二つはどうしようもない。同業者がよく住んでいるであろうエリアを中心に探しましたが、どうしても決まらない。

それで不動産屋の担当者が言ってきたことはこうでした。今度家主との面談があるのだが、その時は「男装」してくれないか、というのです。背に腹は変えられません。わたしは同意しました。

男性が着ても違和感のない服は、わたしのボストンバッグの中にはパジャマ代わりにしていたジャージくらいしかありません。仕方がないので、ユニクロでパーカーと綿のズボンを買いました。ゆったりとしたパーカーを買ったのは胸の膨らみを目立たせないためです。当時はまだ豊胸手術まではしていませんでしたから、じゅうぶん隠せました。もちろんすっぴんで、後髪で後ろで結び、前髪をセンターでわけるとまあ確かに、それらしくはなりました。

それから面談の前に担当者と顔合わせをしました。担当者は言います。実は今回このようにしたのは家主が高齢の男性であなたのような存在に抵抗がないか確信を持てないからだ。職業についてはこれからしっかりしたものを探すと言えばいい。なに大丈夫、部屋を借りてしまえばこちらのものだし、今は家主も部屋の空きを埋めたがっている時期だ。

わたしはそれを聞いてどうにもやりきれない気持ちになりました。担当者は大丈夫と言うものの、わたしはこれから自分の部屋の家主にずっと嘘をついていなければならない。もしかすると、出勤するために部屋から出入りする時、家主とばったり出くわさないかビクビクしなければならない。なぜそんな心配をしなくてはならないのか。ついこないだまで書類が関係のない場面では当たり前のように女性として社会生活をしていたのに。なぜわたしの""当たり前""を奪われなくてはならないのか。

……すみませんが、この話、なかったことにしてください」

担当者はため息をつきました。我儘を言ったのかもしれません。でも譲れませんでした。わたしは後髪をまとめていたゴムを外しました。


その後、わたしは苦労の末にようやく部屋を見つけられたわけですが、この話は単にトランスが部屋を見つけることひとつにも苦労をするというだけの話ではありません。トランスへの理解が薄い世界では、トランスはちょっとしたことをきっかけにあっという間に「当たり前」を奪われるということなのです。""否認派""が「性自認」をいくら疑い、トランス女性の加害性(とやら)を喧伝しても、わたしたちがこのように生きることを真剣に願い、そしてこのように身体を変え、このように存在している、現に存在していることは誰にも否定できないのです。決して。

わたしは主張しているわけではありません。


わたしは存在しているのです。

奪わないでください。